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トップページ >  これで解決!あなたのギモン >  ぜんそく(喘息) >  「喘息のない生活」を目指して

「喘息のない生活」を目指して


喘息患者さんは、日々の生活の中で色々な悩み・心配事を持っておられます。

カゼを引くと調子が悪くなるのはなぜ?
運動するとゼーゼーする、運動は無理?
熱さましや痛み止めは、危険って聞いたけど、私は大丈夫?


喘息による制限のない毎日を目指して、問題を解決していきましょう!

Q 発作を起す原因はなに?

A かぜ、天候・気候の変化、運動が三大原因

喘息発作の原因として、第一位:カゼ、第二位:天候・気候の急な変化、第三位:運動をした時でした。

普段は良いけれど、カゼをひくとダメだね」と感じている患者さんが多いのではないでしょうか?

その他では、アレルギー(ホコリ・動物のフケ)、煙(タバコ、お線香)・臭い(香水)、疲労・ストレス、笑う・泣く、また、食品(ソバ・ピーナッツなど)、お酒、薬(痛み止め、解熱剤)も喘息を悪化させる危険性があります。

女性の喘息患者さんの2~3割の方では、生理の前後に喘息が悪化する傾向がありました。

喘息を悪化させる原因は、歳(年代)によって違う?

若年の喘息患者さんと中高年の喘息患者さんでは、喘息が悪化する原因は同じでしょうか?
喘息が悪化する原因としては、
 ・若年→アレルゲン(ダニ・花粉・ペット等)の暴露、笑い
 ・中年→鎮痛・解熱剤
 ・高齢→風邪

上記が悪化の原因として多い傾向がありました。
喘息が悪化した時に採取した血液を分析すると、若年ではアレルギーが関連した成分(メディエーター)であるECP(好酸球カチオン性タンパク)が、高齢ではウィルス・細菌感染と関連したCRP(C反応性タンパク)がそれぞれ高値で、年齢による原因の差を裏付けるような結果でした。
気管支喘息発作と悪化の原因:年代による違い

喘息増悪時のメディエーターの年齢による相違(血液)

Q カゼで発作が出るのはなぜ?

A カゼのウィルスが、気道の炎症を悪化

健康な方がカゼを引いた場合、くしゃみ・鼻水、のどの痛み、微熱、軽い咳が出る程度で、早ければ2~3日、遅くとも4〜5日で治ります。

喘息患者さんでは、白血球の一種でアレルギー反応を起す好酸球による慢性的な気道の炎症が起きています。
喘息患者さんでは、カゼのウイルスが、好酸球による気道の炎症を更に悪化させて、色々な刺激(寒暖差、会話、横になる等)により喘息発作を起こしやすくなっています。
また、カゼの原因となったウィルスにより、気道の拡がり具体を調整している自律神経のバランスが崩れて、気道が狭くなりやすい状態になっています。

「カゼを引いたかな?」と思った当日より、風邪の症状が一段落した2~3日後に喘息が悪化する点は要注意です。

喘息患者さんの気道では、風邪のウイルスに対する抵抗力が弱く、ウィルスの増殖が抑えられないため、ウィルスに対する免疫反応が長引いて、気道の炎症が悪化してしまうことがわかっています。

Q 運動あきらめるの?

A 運動の制限はありません

「発作が心配でスポーツはあきらめています…」

現在のような良い治療法が無かった時代は、運動ができない、運動を諦めていた患者さんが殆どでした。

運動すると、体に必要な酸素が増え、鼻からの呼吸(鼻呼吸)では酸素の供給が不十分となり、「ハーハー」と口を開ける呼吸(口呼吸)となり、その結果、乾燥した冷たい空気が気道に直接流れ込みます。
この乾燥した冷たい空気が気道を刺激して喘息発作が起きます(寒くて空気が乾燥した冬の時期に運動すると発作が起きやすいのはこのためです)。

最近は、気道の炎症をコントロールする有効な治療法により、気道の慢性的な炎症が改善して、運動しても喘息発作が出にくくなりました。
今では、スポーツに関する制限はとても少なくなりました。喘息の治療しながら、オリンピックで金メダルを取った選手も沢山います。
キチンと治療すれば、オリンピック・プロアスリート並みの運動もできます。



参考サイト「エッ オリンピックスイマーの寺川綾さんも喘息だったんだ!」(リンクは別ウィンドウで開きます)

Q 注意する季節はいつ?

A 秋と春は要注意!

喘息が悪化しやすい季節があることをご存じでしょうか?
  • 救急外来を受診
  • 予約日以外の受診
  • ステロイドを服用(短期間)
  • 入院
以上のような喘息の悪化が、どの季節に起きたのかを調査してみました。
その結果、9月から1月、5月に喘息が悪化しやすい事がわかりました。

この時期に喘息が悪化しやすいのは、
  • 寒暖差・気圧の急な変化
  • 台風
  • かぜを引きやすい
  • ダニ・カビが発生しやすい
以上が、その理由として考えられています。

春と秋は要注意

Q アレルギーの原因はなに?

A ダニ(ハウスダスト)、花粉、動物のフケ、カビ、ゴキブリ

喘息は、アレルギー(他の人よりも過敏な反応)に関連した病気であることは、皆さんもよくご存じかと思います。

では、何に対してアレルギーを起こしやすいのでしょうか?

アレルギー反応を起こしやすい人は、体にIgE(アイジーイー)を呼ばれている抗体を持っています。

そこで、喘息患者さんの血液中のIgE抗体を検査しました。
20歳代の喘息患者では、80%以上の方がダニ・スギの花粉に対するIgE抗体を持っていました。また、犬・猫のフケに対しても20歳代の患者さんのIgE抗体の陽性率は50%と高率でした。

カビ、ゴキブリ(フン・死がい)の陽性率は全年代で15~30%でした。

ご自身が、何に対してアレルギー反応を起こしやすいのか?一度検査を受けておくことをお勧めします。

年代別のアレルゲンの陽性率


ダニの回避は本当に有効?

ダニに過敏で、発作を起こしやすい小児喘息の患者さんを対象に、ダニを通さないベッドカバー、あるいは普通のベッドカバーでマットレスを包んだ場合、マットレスにつくダニの量と喘息発作への影響が英国で検討されました。

その結果、ダニを通さないベッドカバーでは、マットレスにつくダニの量が84%減少しましたが、普通のベッドカバーでは変化がありませんでした。
また、1年の間に、ダニを通さないベッドカバーをつけた患者さんの内、重い喘息発作を経験したのは29%、普通のベッドカバーをつけた患者さんでは42%、つまりダニを通さないカバーをつけていた患者さんでは、重い発作を起こす危険性が少なくなることが確認されました。


Q 花粉症は関係あるの?

A 鼻と気道の病気(花粉症と喘息)には密接な関連性

「花粉症の時期はどうも喘息の調子も悪い!
こんな事を感じている方が多いのではないでしょうか?

そこで、喘息患者さんを対象に、アレルギー性鼻鼻炎かどうか?を調査しました。
  • 成人(20~44歳):88
  • 中年(45~64歳):70%
  • 高齢(65歳以上) :34%
喘息患者さんの多くがアレルギー性鼻炎(花粉症)でした

花粉症の時期に喘息が悪化する原因としては、
  • 鼻水がノドに垂れ込む(後鼻漏)
  • 鼻がつまって口で呼吸する
  • 鼻のアレルギー反応が(血液を介して)気道に悪影響
以上のような理由があります。

≫アレルギー性鼻炎・花粉症の詳しい説明はこちらをご覧下さい

年代別の花粉症合併率



Q 「ペット」は飼える?

A イヌ・ネコ・ハムスター・ウサギは喘息を悪化

「どうしてもペットが飼いたい!」
お子さんにそんな風にせがまれた喘息患者さんはいませんか?

喘息患者さんを対象としたペットの飼育に関する調査結果では、ペットを飼っている患者さんは41% で、一般家庭の調査結果(40%)と同じでした。
ペットの内訳は、犬が56%と一番多く、次が猫で18%でした。

動物にアレルギー反応を起こす喘息患者さんがペットの飼育を止めると喘息の調子は確実に良くなります。しかし、「●●ちゃんはウチの家族ですから!飼うのを止めるなんて絶対無理…」と考えている方がほとんどで、「飼うのを止められない」のが現実です

ペットは飼わない方が良いのですが、中止できない場合は
  • 寝室にペットを入れない
  • こまめに掃除をする
  • カーペットは敷かない
などの対策を取ることが必要です。




Q 「タバコ」はダメ???

A 炎症を悪化させ、薬の効果も弱めてしまいます

日本人の喫煙率は年々低下をしています。
一方、日本の喘息患者さんの喫煙率は29%で、諸外国に比べてかなり高率であることが報告されています。

なぜ、喘息患者さんは、タバコを吸ってはいけないのでしょうか?
  • 気道の炎症を悪化させる
  • 肺の老化を早める
  • くすりの効果を弱める
「タバコ」は、数々の悪影響を喘息に及ぼします。「よーし、自分も禁煙に挑戦するぞ!」と思われた方は、当クリニックで実施している禁煙外来のページを是非ご覧下さい。
禁煙外来を受診された方の8割の方が禁煙に成功しています。

≫禁煙外来の詳しい説明はこちらをご覧下さい


【院長コラム】小児喘息の患者さんがタバコを吸う?―ご両親の喫煙歴が影響する!―

小児喘息だった人は、まさかタバコは吸わないでしょう

小児期に喘息が発病した成人喘息患者さん150人を対象に、喫煙の有無を調査してみました。
その結果、65人(43%)がタバコを吸っている、4人(3%)は過去に吸っていたが今は禁煙している、残りの81人(54%)の方はタバコを吸った経験が全くありませんでした。
つまり、小児喘息があったにも関わらず(?)、半数近くの方が、タバコを吸っている(吸っていた)事が判明しました。
 
次に、現在あるいは過去にタバコを吸っていた方に「何歳の時にタバコを吸い始めましたか?」を確認した結果、54%つまり半数以上が20歳未満(なんと9%の方は15歳未満!)でタバコを吸い始めていました

なぜタバコを吸い始めてしまったのでしょうか?

そこで、小児喘息患者さんのご両親の喫煙状況を併せて調査してみました。その結果、小児喘息患者さんの内、ご両親ともにタバコを吸う家庭で育った小児喘息の患者さんでは74%、父親だけがタバコを吸う家庭で育った小児喘息患者さんは62%がタバコを吸っていました。
一方、ご両親ともにタバコを吸わない家庭の小児喘息患者さんの場合、タバコを吸う割合は10%と低い結果でした。
つまり、ご両親がタバコを吸っていると、知らず知らずの内に喫煙の習慣が身についてしまうことが判明しました。

小児喘息のお子さんをお持ちのお父さん、お母さんにお願いします。是非、お子さんの将来のためにも禁煙にチャレンジしてください!!


Q ストレスも原因になるの?

A 嫌なこと・辛いことは、喘息にも悪影響

「あー疲れた!もうクタクタ」
「なんで、こんな嫌なことばかり続くの…」
そんな時に喘息の発作がでた経験はありませんか?


喘息患者さんの4割以上が、「過労」や「ストレス」を感じた時に喘息発作を起こした経験があります。

ストレス・過労は、ホルモンのバランスや自律神経に悪影響を及ぼし、その結果、気道の炎症が悪化、あるいは気道の平滑筋が縮んで狭くなりやすくなること等が影響して喘息発作を起こしやすくなります。



Q 笑うと発作がでる?

A 笑う門には、喘息発作も来る

笑いは健康に良い、あるいは病気に良い影響を与えることは皆さんもよくご存じかと思います。

一方、今から30年以上前に「笑うと喘息発作が起きる」事が有名な英国の医学雑誌(Lancet:ランセット誌)に報告されています。
また、「最新の喘息を診断するための指針」においても、「笑うと咳・ゼーゼーする」場合は、喘息の可能性が極めて高いことが記載されています。

「どうして笑うと喘息発作が起きるのか?」は、実はまだよくわかっていませんが、「笑う時に繰り返し大きく息を吸ったり吐いたりする事が気道を刺激する」、「脳からの情動的な司令が関連している」のではないかと推測されています。

治療を続けることによって喘息がコントロールされると、ほとんどの患者さんが笑っても喘息発作は出なくなります。

Q 肥満も関連するの?

A 肥満は喘息を悪化させる

「体重が増えてから喘息の調子が悪いのですが...」

体重の増加と喘息にはどのような関連があるのでしょうか?
体重が増えると次のような悪影響が起きることがわかっています。
  • ホルモンのバランスが乱れる
  • 十分に空気を吸えない
  • 気道の壁が厚くなりやすい
  • 気道が色々な刺激に過敏に反応しやすい
  • 気道が狭くなりやすい

肥満と関連した喘息は、中高年の女性に多く、喘息に有効な吸入ステロイド薬を始めとした薬の効きが悪くなることもわかっています。
一方、体重を減らすことができれば、喘息は改善します。

つまり、生活の見直し、運動療法によるダイエットが肥満の喘息患者さんには大変重要です。


Q 「アスピリンぜんそく」?

A 熱さまし・痛み止めの使用は、細心の注意が必要

喘息患者さんの中で、バファリン、セデス、イブ、ロキソニン、ノーシンなどの鎮痛解熱剤を使用した時に、早い方では数分後〜遅くとも1時間以内に、目の充血、鼻水・鼻づまり、咳、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」する息苦しをを自覚した場合には、アスピリン喘息(鎮痛解熱剤過敏喘息)が強く疑われます。
時には死に至る重い喘息発作を起こすことがあります。

原因となる鎮痛解熱剤の多くは、坐薬(肛門から入れる薬)あるいは内服薬(飲む薬)ですが、貼り薬(湿布薬)や塗り薬、時には目薬でも発作が出ることがあります。

※「アスピリン喘息」という病名は、アスピリンだけが危険との誤解を生むことが懸念され、最近は、鎮痛解熱剤過敏喘息と呼ばれています。

坐薬

貼り薬

塗り薬

目薬

アスピリン喘息(鎮痛解熱剤過敏喘息)の特徴

  • 大人のぜんそくの10%(稀ではない)
  • 鼻茸(はなたけ)・副鼻腔炎(ちくのうしょう)の合併が高率
  • においがよくわからない・全くにおわない
  • 女性:男性は3:2で女性の方が多い
  • ミント・歯磨きに敏感

アスピリン喘息(鎮痛解熱剤過敏喘息)の患者さんに安全な薬

■ 熱が出た時、あるいは痛み軽くしたい時
  • アセトアミノフェン(カロナール等)
■ 風邪を引いた時にに飲める薬
  • PL顆粒
  • 葛根湯
  • 地竜
専門医とよく相談しましょう。

上記以外にもハイペン・モービック・セレコックスなどが専門医との相談の上で使用可能な場合があります。
ご自分が鎮痛解熱剤過敏喘息かどうか、予め担当医とご相談されておくことを強くお勧めします。
整形外科、歯科など痛み止めの処方を受ける機会の多い医療機関へ受診される際には特に注意が必要です。


アスピリン喘息に関する最新情報

アスピリン喘息に関して世界的な研究者である「谷口正実先生(独立行政法人国立病院機構相模原病院・臨床研修センター長で自分と同門の先輩になります)」がまとめられたサイトです。是非、ご参考にしてください。

≫NSAIDs(解熱鎮痛薬)不耐症・過敏症(別ウィンドウで開きます)


もっと知りたい【ぜんそく(喘息)】について



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呼吸器・アレルギー専門クリニックです!
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