知るから始めるセキゼンソク
咳喘息はこんな病気です
- 長引く咳の原因第1位
- 症状は咳だけ
- ゼーゼー・ヒューヒューする息苦しさは無い
- 気道の過敏と収縮が咳の原因
- ①問診②レントゲン③呼気中一酸化窒素(NO)④呼吸機能検査が必須
- 吸入ステロイド+気管支拡張薬が治療の基本
- 治療しないと本物の気管支喘息に進む?
Q 咳喘息ってどんな病気?
A 症状は咳だけ!タンやゼーゼーは無し
咳だけが2〜3週間以上続くことが、咳喘息の特徴のです。
咳が長引く以外に以下のような傾向があります。
一方、咳喘息では、以下のような症状が無いことが重要です。
以上のような症状が1つでもあれば、別の病気の可能性が高いということになります。
咳が長引く以外に以下のような傾向があります。
- 布団に入った時・寝ている間・朝起きた時にでやすい
- ニオイ(香水・柔軟剤)・煙(タバコ・線香・花火)に敏感
- 寒暖差・気圧の変化の影響を感じる
- 過去にも同じ季節に咳が長引いたことがある
一方、咳喘息では、以下のような症状が無いことが重要です。
- 熱は出ない(カゼがきっかけの場合、当初の微熱は除く)
- 濁った痰(タン)は出ない(透明〜白い、サラッとした痰は時にあり)
- ノドや胸元のゼーゼー・ヒューヒュー音を伴う息苦しさはない
- 階段や坂道で息切れしない
- 顔や足の浮腫(むくみ)はない
以上のような症状が1つでもあれば、別の病気の可能性が高いということになります。
咳だけ長引く咳喘息
Q きっかけは何?
A カゼ・アレルゲンの暴露・天候・ニオイ・ストレスなど様々
Q 咳喘息って多いの?
A 長引く咳の原因No.1
長引く咳の最も多い原因が咳喘息です。
その他の、長引く咳の原因としては、
一人の患者さんが、【咳喘息+副鼻腔気管支症候群】、あるいは【咳喘息+逆流性食道炎】など、2つ以上の長引く咳の原因を持っている事が少なくありません。
そのような場合、主な原因を抑える治療を受けても、「最初はクスリが効いたと思ったんですが、その後横ばいですね…」となります。
そんな時は、一番目の原因に隠れている二番目の原因を突き止めて、治療を追加することが必要になります。
その他の、長引く咳の原因としては、
- 副鼻腔気管支症候群(副鼻腔と気管支の炎症:濁った鼻汁と痰)
- 逆流性食道炎(逆流した胃酸が食道・のどを刺激)
- アトピー咳嗽(気道のじんま疹)
一人の患者さんが、【咳喘息+副鼻腔気管支症候群】、あるいは【咳喘息+逆流性食道炎】など、2つ以上の長引く咳の原因を持っている事が少なくありません。
そのような場合、主な原因を抑える治療を受けても、「最初はクスリが効いたと思ったんですが、その後横ばいですね…」となります。
そんな時は、一番目の原因に隠れている二番目の原因を突き止めて、治療を追加することが必要になります。
Q 咳が出るのはナゼ?
A 好酸球による気道の炎症が原因
咳喘息の患者さんの気道は、症状がない時(つまり咳が出ていない時)にも炎症を起こしています。
炎症とは、皮膚で例えれば、肌荒れを起こしたような状態です。
では、なぜ咳喘息の患者さんの気道には炎症が起きるのでしょうか?
それには、血液の中を流れている細胞が深く関連しています。血液の中には、赤血球、白血球、血小板の3種類の細胞が流れていますが、この内、白血球だけが5種類に別れて、それぞれの役割が異なります。
5種類の白血球の1つが、気道に炎症を起こす好酸球です。
好酸球が気道に集まってくると、気道の表面を覆っている細胞がはがれ落ちたり、周囲の細胞を過剰に働かせるような物質が放出され、その結果、気道が色々な刺激に過敏に反応して、咳が出やすくなります。
炎症とは、皮膚で例えれば、肌荒れを起こしたような状態です。
では、なぜ咳喘息の患者さんの気道には炎症が起きるのでしょうか?
それには、血液の中を流れている細胞が深く関連しています。血液の中には、赤血球、白血球、血小板の3種類の細胞が流れていますが、この内、白血球だけが5種類に別れて、それぞれの役割が異なります。
5種類の白血球の1つが、気道に炎症を起こす好酸球です。
好酸球が気道に集まってくると、気道の表面を覆っている細胞がはがれ落ちたり、周囲の細胞を過剰に働かせるような物質が放出され、その結果、気道が色々な刺激に過敏に反応して、咳が出やすくなります。
Q 好酸球と咳の関連性は?
A センサーの過剰反応と気道の閉塞
どのように好酸球と咳は関連しているのでしょうか?
それには、以下の2つの経路があります。
①気道の表面のセンサーが過剰に反応する
気道の表面には、皮膚と同じように、痛みや温度を感じる感覚器(センサー)が、びっしりと張り巡らされています。
このセンサーは、熱い・冷たい・痛いなどの刺激から体を守るために存在していますが、気道の表面が炎症を起こしていると、センサーがむき出しの状態になっています。
その結果、わずかな刺激にも気道は過敏に反応してしいます。センサーからの刺激は、脳幹(延髄:えんずい)にある咳中枢(せきちゅうすう:コントロールセンター)に伝わり、胸の筋肉や横隔膜が反応して咳が出ます。
②気道の拡がり具合を調節する筋肉が過剰に縮む
気道の周囲は、拡がり具合を調節する筋肉(平滑筋)が巻き付いています。
この平滑筋は、活動する日中には緩んで気道を拡げ、体を休める夜は縮んで気道を狭くします(車のアクセルとブレーキの関係と似ています)。
気道の周囲の筋肉が、色々な刺激に過剰に反応して縮むと、気道が狭くなった刺激が咳中枢に伝わって咳が出ます。
それには、以下の2つの経路があります。
①気道の表面のセンサーが過剰に反応する
気道の表面には、皮膚と同じように、痛みや温度を感じる感覚器(センサー)が、びっしりと張り巡らされています。
このセンサーは、熱い・冷たい・痛いなどの刺激から体を守るために存在していますが、気道の表面が炎症を起こしていると、センサーがむき出しの状態になっています。
その結果、わずかな刺激にも気道は過敏に反応してしいます。センサーからの刺激は、脳幹(延髄:えんずい)にある咳中枢(せきちゅうすう:コントロールセンター)に伝わり、胸の筋肉や横隔膜が反応して咳が出ます。
②気道の拡がり具合を調節する筋肉が過剰に縮む
気道の周囲は、拡がり具合を調節する筋肉(平滑筋)が巻き付いています。
この平滑筋は、活動する日中には緩んで気道を拡げ、体を休める夜は縮んで気道を狭くします(車のアクセルとブレーキの関係と似ています)。
気道の周囲の筋肉が、色々な刺激に過剰に反応して縮むと、気道が狭くなった刺激が咳中枢に伝わって咳が出ます。
Q どうやって診断するの?
A 問診・呼吸機能・NO測定が必須
咳喘息を診断するためには、次の3つが重要です。
咳喘息に特徴的な咳か?【問診の内容】
どの時間帯に多い?ー起床時・就寝時・就寝中
きっかけは?ー会話・におい・煙・寒暖差・気圧の変化の影響は?
ゼーゼー、ヒューヒューする音は?
熱、濁った痰(たん)は?
階段・坂道での息切れは?
顔・足の浮腫は?
アレルギーによる気道の炎症は?【呼気中一酸化窒素の測定】
気道の表面からは、色々な物質が作られていますが、その一つに一酸化窒素(NO)があります。
気道にアレルギーが原因の炎症が起こると、気道の表面から作られるNOが増えます。
そこで、吐いた息に含まれるNOの濃度を測定することにより、咳がアレルギーに関連しているかどうか?を確認します。
息を吐く時に気道が狭くなるか?【呼吸機能検査】
咳喘息では、息を吐く時に気道の先端が狭くなります。
呼吸機能検査では、気道の先端が狭くなると、吐き出す速度が低下することで確認できます。
また、息を吐き出し切る時に、咳が出そうになることも咳喘息に特徴的ですが、その点も併せて確認します。
以上の3つ、①問診、②呼気中のNO測定、③呼吸機能検査が、正確に咳喘息を診断するためには、どれも欠くことができません。
- 咳喘息に特徴的な咳か?
- アレルギーによる気道の炎症は?
- 息を吐く時に気道が狭くなるか?
咳喘息に特徴的な咳か?【問診の内容】
どの時間帯に多い?ー起床時・就寝時・就寝中
きっかけは?ー会話・におい・煙・寒暖差・気圧の変化の影響は?
ゼーゼー、ヒューヒューする音は?
熱、濁った痰(たん)は?
階段・坂道での息切れは?
顔・足の浮腫は?
アレルギーによる気道の炎症は?【呼気中一酸化窒素の測定】
気道の表面からは、色々な物質が作られていますが、その一つに一酸化窒素(NO)があります。
気道にアレルギーが原因の炎症が起こると、気道の表面から作られるNOが増えます。
そこで、吐いた息に含まれるNOの濃度を測定することにより、咳がアレルギーに関連しているかどうか?を確認します。
息を吐く時に気道が狭くなるか?【呼吸機能検査】
咳喘息では、息を吐く時に気道の先端が狭くなります。
呼吸機能検査では、気道の先端が狭くなると、吐き出す速度が低下することで確認できます。
また、息を吐き出し切る時に、咳が出そうになることも咳喘息に特徴的ですが、その点も併せて確認します。
以上の3つ、①問診、②呼気中のNO測定、③呼吸機能検査が、正確に咳喘息を診断するためには、どれも欠くことができません。
Q 治療はどうするの?
A 吸入ステロイドと気管支拡張薬の合剤
A 3人に1人が気管支喘息に
咳喘息では、適切な治療を受けなかった場合、30% の患者さんが典型的な気管支喘息に進行したという調査結果があります。
一方、診断早期から、咳喘息に対して吸入ステロイド を含む適切な治療を受けると気管支喘息へ進行しませんでした。
吸入ステロイドと気管支拡張薬の合剤を開始すると、初めて吸入した直後から効果を実感(遅くとも3〜5日以内)し、明らかに咳が減ります。
合剤の治療を2〜4週間治療を続けると、「咳は全く出ない・気にならない程度」になります。しかし、そこで治療を中断すると咳喘息が再発する場合が少なくありません。
では、いつまで治療を続けたら良いのか?実は、その点はまだよくわかっていません。
⇒詳しくは、咳喘息の治療についてをご覧ください。
一方、診断早期から、咳喘息に対して吸入ステロイド を含む適切な治療を受けると気管支喘息へ進行しませんでした。
吸入ステロイドと気管支拡張薬の合剤を開始すると、初めて吸入した直後から効果を実感(遅くとも3〜5日以内)し、明らかに咳が減ります。
合剤の治療を2〜4週間治療を続けると、「咳は全く出ない・気にならない程度」になります。しかし、そこで治療を中断すると咳喘息が再発する場合が少なくありません。
では、いつまで治療を続けたら良いのか?実は、その点はまだよくわかっていません。
⇒詳しくは、咳喘息の治療についてをご覧ください。
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